毎年、暑い時期になると、ネットニュースにも戦争体験関連の記事がたくさん目にします。そこにどんな意図があるのかは、正直私にはわかりませんが、たまたま記事を読んでしまうと、いたたまれない気持ちになります。
特に、私は、特攻隊の方の手紙、幼い子供を残して亡くなった日本兵の方の記事を読むと、本当に堪えます。
日頃の当たり前が、当たり前になり過ぎていないか
子供と一緒に入れる幸せ
こないだ目にした記事は、80歳になった人が、5歳ころ。父親が出征し、そのままフィリピンで戦死した・・という記憶。
出征前日、父は一日だけ休みをとり、その晩、彼とその弟を両側に抱えて眠ったのだそうです。
「父の身体は、とても温かかった。」
次の日の早朝に父は家を出たそうです。
これは子供の記憶ですが、父親側の立場から見ると・・両側に幼い子供を抱えて眠ったその父はどんな心境でその夜を過ごしたのか・・考えるだけで胸が苦しくなります。
きっと・・
両脇の子供の温かさを、匂いを、決して忘れまいと、自分の記憶、肌、感覚に刻み込もうとしたのでしょう。
両脇の子供の未来を、心から祈ったのでしょう。
両脇の子供を置いていかなければならないことを、懺悔したのでしょう。
自分の境遇を、ただただ憎んでは立ち上がれないから、両脇の子供たちのためにも戦おうと、自分を奮い立たせたのでしょう。
もう二度と会えないかもしれない。そんな子供も2人を両側に抱えて、何を思ったのでしょうか。
星の数ほどの思いが、去来したことと思います。
朝は、どういう気持ちで家を出たのでしょうか。
多分、長居すると辛いから、朝早く出たのではないでしょうか。
私も小学生の息子がいますが、イライラをぶつけてみたり、うっとうしがってみたり、心配ばかりしてみたり、無関心になってみたり、、競争馬のように勉強をさせたくなったり・・・たまに一緒に寝ても、当たり前のようにただ隣で寝ているだけのこともあります。
この方の子供との最後の夜を思えば、今しかない幼い子供の成長を記憶に焼き付け、子供の将来を心配するのではなく、ただただ祈れるのかもしれません。
一日、ひと時でも、寝顔を見ているときだけでも、一緒にいれる瞬間に、感謝せずにはいられませんね。
妻と、夫といれる幸せ
もう一つ、有名な特攻隊の遺書があります。
穴澤利夫大尉(23歳)さんが彼の婚約者智恵子さんに宛てた遺書です。以下、抜粋します。
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「便りを書きたい。書くことはうんとある。
然しそのどれもが今までのあなたの厚情にお礼を言う言葉以外の何物でもないことを知る。あなたの御両親様,兄様,姉様,妹様,弟様,みんないい人でした。至らぬ自分にかけて下さった御親切,全く月並のお礼の言葉では済みきれぬけれど「ありがたふ御座いました」と,最後の純一なる心底から言って置きます。
今は徒に過去における長い交際のあとをたどりたくない。問題は今後にあるのだから。常に正しい判断をあなたの頭脳は与えて進ませてくれることと信ずる。然し,それとは別個に婚約をしてあった男性として,散って行く男子として,女性であるあなたに少し言って征きたい。
「あなたの幸せを希ふ以外に何物もない」
「徒に過去の小義に拘るなかれ。あなたは過去に生きるのではない」
「勇気を持って,過去を忘れ,将来に新活面を見出すこと」
「あなたは,今後の一時一時の現実の中に生きるのだ。穴澤は現実の世界には,もう存在しない」
極めて抽象的に流れたかもしれぬが,将来生起する具体的な場面々々に活かしてくれる様,自分勝手な,一方的な言葉ではない積りである。
今更何を言うか,と自分でも考えるが,ちょっぴり慾を言って見たい。
1.読みたい本
「万葉」「句集」「道程」「一点鐘」「故郷」
2.観たい画
ラファエル「聖母子像」、芳崖「悲母観音」
3.智恵子、会いたい,話したい,無性に。
今後は明るく朗らかに。自分も負けずに,朗らかに笑って征く。」
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あなたと、あなたの配偶者も、前世でこのような別れをしたのかもしれません。
今世、やっとまた会えた2人かもしれません。
憎しみあう事もあるかもしれません。けれど、一日に一度だけでも、優しい言葉をかけたり、感謝の言葉をかけたくなりますね。
穴澤利夫大尉(23歳)さんと智恵子さんには、奇跡と思えるようなラブストーリーがあります。詳しくはこちらの本に詳しいです。
異常な時代に、当たりまえを取り戻そう
戦争の時代・・すべてが異常だった時代。
けれど、当時はその異常が日常だったのでしょう。
今の時代。50年後の日本人がみたら、同じように「異常な時代」と思うのかもしれません。
親が子供を殺し、子供が親を殺す。年間数万人が自殺をし、人間関係、家族関係は希薄。うつ病が蔓延しています。
いつのまにか、その異常が日常になっています。
子供を愛す、彼氏、彼女、妻や旦那を愛する。隣の人を愛する。見返りを求めずに、ヒドイ思いをしても、ただ、自分は愛を示そう。
それが日常になるように。
この異常な時代を生き抜きたいですね。